近年、デジタルマーケティング界隈で「ゼロクリック(Zero Click)」というキーワードが注目を集めています。ゼロクリックとは、ユーザーが検索結果ページ内で必要な情報を得て、リンクをクリックせずに行動を完結させる現象を指します。
たとえば、Google検索で表示される強調スニペット、ナレッジパネル、Googleマップ情報などが典型例です。Semrushの調査によると、モバイル検索の約65%、デスクトップ検索の約50%がゼロクリックで完結しているという報告もあります。
ゼロクリックの増加は、「SEO=流入確保」という旧来型のモデルそのものの再考を迫る、大きなパラダイムシフトなのです。本記事では、ゼロクリック現象の実態を解説するとともに、これから取るべき具体的な集客対策を体系的にご紹介します。
ゼロクリックとは?
ゼロクリックの定義
ゼロクリックとは、SERPs(検索結果ページ)内でユーザーが満足し、ウェブサイトに遷移せずに検索行動を終了する現象です。特に、次のような目的で検索している人によく見られます。。
- ナビゲーション型(例:「スターバックス 渋谷」)
- 情報取得型(例:「東京 気温」「1ドル 円換算」)
- ショートアンサー型(例:「SEOとは」)
ゼロクリックは「流入を奪う敵」と見られがちですが、正しく理解すれば「新たな認知獲得チャネル」として活用できる側面も持っています。
ゼロクリックを引き起こす具体的な要素
強調スニペット
Google検索結果の最上部(通常の検索結果の上)に特別に表示される、質問の答えや情報を抜粋して強調表示する枠のことです。
一般的には、あるサイトから回答の一部が引用され、目立つデザイン(ボックス型・太字など)でユーザーに提示されます。
強調スニペットの主な特徴
検索意図に即した回答を即座に表示
(例:「強調スニペットとは?」→その説明がすぐ表示される)
リンク元ページへのURLも表示される
(クリックすると引用元のページにアクセスできる)
形式は、テキスト・リスト・表・画像・動画など様々
具体例
たとえば「パスタの茹で時間」と検索したとき、「パスタは沸騰したお湯で7~10分茹でるのが一般的です」という回答が、目立つボックスに表示されることがあります。
なぜ重要か?
通常の1位よりも上に表示されるため、クリック率(CTR)が大幅に上がる可能性があります。
ナレッジパネル
ナレッジパネルとは、Google検索結果ページの右側(PC版)や、スマホの場合は最上部に表示される、特定のテーマに関する要約情報をまとめた専用ボックスのことです。
Googleが独自に集めた信頼できる情報源(Wikipedia、公式サイト、データベースなど)をもとに作られています。
いうならば、ナレッジパネルは「検索した対象について、Googleがまとめた公式プロフィールカード」のようなものです!
ナレッジパネルの主な特徴
- 企業名・著名人・場所・商品名など、特定の「固有名詞」に関連する情報がまとめられる
- 通常は公式ウェブサイトへのリンクやSNSアカウントなども表示
- 画像・概要・所在地・設立日・経歴など、多様な情報をコンパクトに提供
- 情報の編集リクエストはできるが、基本はGoogle側が管理している
具体例
【企業名】→ ロゴ、設立年、創業者、公式サイトリンクなどが表示
【有名人名】→ 顔写真、生年月日、活動歴、代表作などが表示
【場所名】→ 地図、営業時間、レビュー、電話番号などが表示
たとえば「スターバックス」と検索すると、
右側にロゴ・会社概要・創業年・公式サイトなどがまとまったパネルが出てきます。
これがナレッジパネルです。
なぜ重要か?
- ブランドの信頼性や認知度を高める
- 検索結果画面を占有できるため、目立ちやすい
- 公式情報がまとめられていると、ユーザーに安心感を与えられる
関連質問ボックス(People Also Ask)
関連質問ボックスとは、Google検索結果に表示される「他の人はこちらも質問しています」というタイトルがついた、関連する追加の質問とその簡単な回答をまとめたセクションのことです。
関連質問ボックスの主な特徴
- ユーザーの検索意図に関連する追加の質問と回答を表示
- 質問をクリックすると、短い回答と引用元リンクが展開表示される
- 1つの質問を開くと、さらに追加の質問がどんどん表示される(無限に増えることもある)
- 出典(リンク先)は多くの場合、1つのページの一部を引用している
具体例
たとえば「SEOとは」と検索すると、途中にこんな関連質問ボックスが出ることがあります。
これらの質問をクリックすると、簡単な答えと、詳しく知りたい場合のリンク(引用元)が表示されます。
なぜ重要か?
- より多くの検索キーワードに自社ページが露出できるチャンスになる
- 潜在ニーズを拾ったキーワード戦略を立てるヒントになる
- SEO対策において、新たな流入チャネルを広げるきっかけになる
ローカルパック(Googleマップ3パック)
ローカルパックとは、Google検索で「近くの○○」「○○ 店舗」などのローカル検索をしたときに、地図と一緒に3つ程度の店舗情報がまとめて表示される特別枠のことです。
主に、店舗名、口コミ評価(★)、営業時間、住所、電話番号 などがセットで表示されます。正式には表示されるのが基本3件だから「ローカル3パック」と呼ばれています。
ローカルパックの主な特徴
- Googleマップ連携型の検索結果
- 非常に目立つ(通常の検索結果より上、または目立つボックスで表示)
- クリックや電話、経路案内に直結する
表示される情報は主にGoogleビジネスプロフィールの内容から引っ張っている
具体例
たとえば「岡山駅 美容院」と検索すると…
このような感じで、地図とともにお店情報がリストアップされて表示されます。これがローカルパックです。
なぜ重要か?
- スマホユーザーの「今すぐ行きたい」に直結する超重要枠
- 通常のSEO順位とは別に上位表示できるチャンス
- 店舗ビジネスの集客に直結する(電話・予約・訪問を生みやすい)
特に飲食店、美容室、整体院、歯科医院などは、ローカルパックに出るかどうかが売上に直結します。
ローカルパックは「地図+上位3店舗を目立たせた、地域検索特化の特別表示」であり、表示されるためには「Googleビジネスプロフィール最適化」が超重要です。
リッチリザルト
Google検索結果において、通常のタイトル・URL・説明文だけのシンプルな表示ではなく、追加情報(画像・評価・価格・パンくずリスト・イベント日時など)が強調表示された特別な検索結果のことです。
リッチリザルトの主な特徴
- 画像、レビュー(★評価)、価格、レシピの材料、FAQ、イベント日時など、視覚的にも豊かな情報を表示
- クリック率(CTR)が高くなりやすい(目立つため)
- 通常のSEO対策に加えて、構造化データの設定が必要
- スマホでも非常に目立つため、モバイルSEOで特に効果的
具体例
たとえば「チーズケーキ レシピ」と検索すると…
写真付き、レビュー星付き(★4.5など)、調理時間「45分」、カロリー情報
などが普通のテキスト検索結果に追加されて表示される場合があります。これがリッチリザルトです。
その他にも、
商品情報(価格・在庫状況)、イベント情報(開催日時・場所)、FAQ(質問と回答セット)など、ジャンルごとに様々なリッチ表示が存在します。
なぜ重要か?
- 検索結果で目立つのでクリックされやすい
- ユーザーにとっても情報が見やすい
- 特にスマホユーザーには、直感的に選ばれやすくなる
つまり、リッチリザルトを獲得できると、通常の順位だけでなく見た目で勝つことができるのです!
表示させるにはページのHTMLソースコードに、「構造化データマークアップ」という特別なコードを追記する「構造化データの設定」がカギです。
ゼロクリックが急増している背景とは?
ユーザー行動変容
モバイルファースト時代において、ユーザーはスピード重視・手間削減の志向となり、「即答性」を求めるようになりました。特に音声検索の普及は、「最短ステップで答えにたどり着きたい」というニーズを加速させています。
検索エンジン戦略
Googleをはじめとする検索エンジン側も、「SERPs内でユーザー体験を最大化する」ことをミッションに掲げています。
- ユーザー満足度向上によるエンゲージメント時間の増加
- 他検索エンジンへの離脱防止
- 広告クリック率向上への間接的貢献
ゼロクリックがもたらす影響
自然検索流入の減少リスク
ゼロクリック化が進むことで、従来のオーガニックSEOによる流入獲得効率は確実に低下します。FAQや単純情報系キーワードでは、流入数が前年比で10〜20%減少するケースもあります。
コンバージョン機会の減少
クリックされなければ、当然ながらCVチャンスも失われます。そのため「流入前提」ではなく「認知形成・信頼獲得」まで設計すべきです。
ブランディングとローカルSEOにおける好機
ゼロクリック領域でも、企業名露出やポジティブな口コミ表示によって、購入意欲の醸成が可能です。ローカルビジネスでは特に影響大です。
ゼロクリック時代に適応するための集客対策4選
1. Googleビジネスプロフィール(GBP)最適化
背景と重要性
モバイル検索のうち、「地域系」は80%以上がゼロクリック領域(ローカルパック)で完結しています。地域ビジネスはSERP上で「選ばれるか」が勝負。
やるべき具体策
- 基本情報の完全登録(店舗名、住所、電話番号、営業時間)
- 高品質写真の定期追加
- 最新投稿機能(イベント、キャンペーン)の活用
- レビュー管理(新着レビューへの即時返信)
注意点
最新情報を怠ると表示順位低下のリスクあり。
2. 構造化データ(Schema.org)活用
背景と重要性
リッチリザルト対応ページはCTRが平均30〜40%高い。ゼロクリック領域を制するには不可欠。
やるべき具体策
- FAQ構造化
- 製品情報・レビュー情報の構造化
- 組織情報の構造化
- パンくずリストのマークアップ
注意点
形式だけ整えた低品質なFAQは禁止。
実施後に見るべき指標
Search Console「リッチリザルトの表示回数・CTR」
3. 指名検索(ブランドワード検索)を増やす
背景と重要性
指名検索は、ゼロクリック領域に飲み込まれず流入が安定する。
やるべき具体策
- SNSオーガニック発信強化
- YouTubeコンテンツ展開
- オウンドメディア運用
- リターゲティング広告配信
注意点
認知だけでなく「記憶に残るブランド作り」が必須。
実施後に見るべき指標
指名検索クエリでの表示回数とCTR
4. サイト内回遊設計・UX改善
背景と重要性
一度来たユーザーを離脱させず、深い接触を促すことがコンバージョン向上に直結。
やるべき具体策
- 関連記事レコメンド設置
- CTA配置の最適化
- 1ページ1CTA設計
- モバイル速度最適化
注意点
リンク過多にならないよう、次に進むべき1ページを絞る。
実施後に見るべき指標
滞在時間、ページビュー、スクロール深度
まとめ
ゼロクリックの進行は不可避であり、これを「脅威」と捉えるのではなく、「新たな集客チャネル」として活かす視点が必要です。
露出チャネルの多様化、指名検索数増加施策、サイト内回遊設計の強化など、総合的なアプローチでゼロクリック時代を乗り越えていきましょう。
しかし、、、ウェブサイトの設計の見直してコンテンツを書き直したり、SNSでフォロワーを獲得してバズるのを狙ったりといった戦略は膨大な時間とコストがかかります。
そんな中、店舗ビジネスを運営している事業者には、Googleビジネスプロフィールの活用をお薦めします。
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