今回は長いタイトルです。
そして、本文もかなりのボリュームです。
「Z世代を理解したけれど、採用活動において具体的にどうすればいいのか分からない」
前回の記事「なぜZ世代は『意味不明』なのか?」では、Z世代の価値観、早期離職の真の理由、そして世代間ギャップの本質について徹底的に解説しました。
しかし、理解するだけでは採用は成功しません。次に必要なのは、具体的な行動です。
- Z世代が日常的に使っているSNSで、どうやって企業の魅力を伝えるのか?
- 彼らが「参加したい!」と思う採用イベントとは何か?
- どんなメッセージが彼らの心に響くのか?
この記事では、Z世代を「この会社の説明を聞きたい」と思わせる実践的な戦略を、成功事例とともに詳しく解説します。
前回の「理解編」を読んでいない方も、この記事だけで十分実践できる内容になっています。
それでは、Z世代採用の最前線へ飛び込んでいきましょう。
ちなみに、前回記事はこちらです。
目次
SNS採用戦略 – Z世代が情報収集する場所で勝つ
なぜSNSが採用活動で必須なのか

「うちの会社にSNSは必要ない」――そう考えているなら、Z世代の採用で既に出遅れています。
【衝撃的なデータ】
- Z世代の多くは企業のSNSアカウントの有無やその発信内容が、応募の意思決定に影響を与えると回答
- 公式サイトや求人情報だけでは得られない、企業のリアルな雰囲気や働く人々の姿を知りたい
- Z世代は物心ついた頃からインターネットやスマートフォンが身近にあるため、SNSでの情報収集が日常
つまり、SNSで存在感を示せない企業は、Z世代にとって「実在しない企業」も同然なのです。
SNS採用がもたらす4つのメリット

メリット1:転職市場にいない潜在層にもアプローチできる
求人サイトや人材紹介サービスは、主に転職や就職を具体的に考えている「顕在層」へのアプローチが中心です。
一方、SNSは日常的に利用されるプラットフォームであるため、まだ転職意欲が明確でない「潜在層」にも企業の情報を届けることが可能です。魅力的なコンテンツを継続的に発信することで、企業の名前や事業内容、社風などを自然な形で刷り込めます。
すぐに採用にはつながらなくても、将来的に彼らがキャリアチェンジを考えた際、自社を最初の選択肢として想起してもらえる可能性が高まります。
メリット2:ありのままの社風を発信して企業のファンを増やせる
SNSでは、フォーマルな情報だけでなく、働く社員の素顔や社内イベント、オフィスの日常といった、ありのままの姿をカジュアルに発信できます。
こうしたリアルな情報発信は、企業の価値観やカルチャーに共感するフォロワー、すなわち企業の「ファン」を増やすことにつながります。
ファンとなったフォロワーは、、、
- エンゲージメントが高い応募者候補となる
- 企業の投稿を拡散してくれる存在になる
- 採用活動の枠を超えて企業全体のブランディングに貢献
- サービスの認知度向上にも影響を与える
メリット3:採用コストを大幅に削減できる
多くのSNSプラットフォームは、アカウントの開設や基本的な投稿機能を無料で利用できます。
そのため、高額な費用がかかる求人広告媒体への出稿や人材紹介サービスの利用(成功報酬で年収の30-35%が相場)と比較して、採用にかかるコストを大幅に削減できる可能性があります。
もちろん、コンテンツ制作やアカウント運用には人件費がかかりますが、一度作成したコンテンツは企業の資産として残り続けます。広告機能を利用する場合でも、ターゲットを細かく設定して効率的にアプローチできるため、費用対効果の高いプロモーションが可能です。
メリット4:入社後のミスマッチを防ぎ定着率が向上する
採用活動における大きな課題の一つが、入社後のミスマッチによる早期離職です。
SNSを通じて企業のリアルな働き方や文化、雰囲気などを事前にオープンに伝えることで、候補者は入社後の自分をより具体的にイメージできます。
「想像していた会社と違った」というネガティブなギャップを最小限に抑え、企業の価値観を深く理解した人材からの応募を促進することが可能になります。
結果として、入社後の定着率が向上し、長期的に組織へ貢献してくれる人材の確保につながり、採用・育成コストの削減にも貢献します。
SNS運用を始める前に知っておくべきこと

注意点1:成果を実感するまで継続的な運用が必要
SNS採用は、求人広告のように短期間で直接的な成果が出る施策ではありません。
アカウントの認知度を高め、フォロワーとの信頼関係を築き、企業のファンを増やして応募につなげるまでには、数ヶ月から1年以上の継続的な運用が求められます。
そのため、短期的な成果を期待するのではなく、中長期的な視点でのリソース配分と運用計画が不可欠です。担当者の設定やコンテンツ制作のフローを確立し、途中で更新が滞らない体制を構築することが重要です。
更新が止まったアカウントは、かえって活動が停滞している印象を与えかねません。
注意点2:不適切な投稿が炎上し企業イメージを損なう恐れ
SNSは情報が瞬時に拡散される特性を持つため、一つの不適切な投稿が「炎上」を引き起こし、企業のブランドイメージを大きく損なうリスクを常に内包しています。
差別的な表現やハラスメントと受け取られる内容、個人情報の漏洩、著作権侵害などに細心の注意を払う必要があります。
炎上は採用活動に直接的な打撃を与えるだけでなく、顧客や取引先からの信頼も失墜させかねません。
炎上リスクへの対策
- 投稿前の複数人によるチェック体制の構築
- SNS運用に関するガイドラインの策定
- 万が一の事態に備えた対応フローの準備
- 徹底したリスク管理
TikTok・Instagram・X・YouTube・LINEの使い分け

ここからが本題です。各SNSの特性を理解し、自社の採用戦略に合わせて使い分けることが成功の鍵です。
TikTok:エンターテインメント性で仕事の楽しさを伝える

プラットフォームの特徴
- ユーザー層:10代〜20代前半が中心
- コンテンツ形式:15秒〜3分のショート動画
- 最大の強み:圧倒的なバイラル性(拡散力)
- 雰囲気:エンターテインメント性重視
採用活動での活用方法
TikTokは、企業の真面目な側面を伝えるよりも、仕事の楽しさや社内の和気あいあいとした雰囲気を直感的に伝えることに適しています。
効果的なコンテンツ例
- 社員の1日」をテンポの良いBGMに乗せて紹介
- オフィスツアーをコミカルに演出
- 社内イベントの楽しい瞬間
- 仕事の裏側を覗き見する感覚
出社から退社までをダイジェストで、リズミカルに編集
面白いナレーションや効果音を入れて、親しみやすく
忘年会、運動会、ランチタイムの様子など
「○○職の意外な1日」「実は○○な瞬間」など
重要なポイント
作り込まれたプロモーション動画よりも、社員の素の表情や人間味が垣間見える、リアルで飾らないコンテンツがZ世代の共感を呼びやすい傾向があります。
【成功事例】
ケース1:某中小IT企業
「エンジニアのゆるい日常」をテーマにしたショート動画を投稿。仕事の合間に卓球で盛り上がる様子や、ランチタイムの雑談風景など、社員の仲の良さが伝わるコンテンツがZ世代にヒットし、多くのフォロワーを獲得。
当初は採用を主目的としていなかったが、「こんな雰囲気の会社で働きたい」というDMが学生から殺到。これをきっかけに採用情報を本格的に発信したところ、前年度に比べて新卒採用のエントリー数が数倍に急増。
企業のリアルな雰囲気を伝えるTikTokの特性が、応募数の増加に直結した好例です。
ケース2:大手警備会社
社長や幹部が出演する親しみやすい動画でZ世代にアプローチ。固いイメージのある警備業界で、トップ自らがカジュアルに登場することで、「風通しの良い会社」というイメージを構築し、応募増加につながりました。
TikTok活用のコツ
- トレンドの音楽やエフェクトを積極的に活用
- 最初の3秒で興味を引くフックを作る
- ハッシュタグチャレンジへの参加
- 社員に「TikTokクリエイター」として活躍してもらう
Instagram:ビジュアルブランディングで世界観を構築

プラットフォームの特徴
- ユーザー層:20代〜30代が中心
- コンテンツ形式:写真、ストーリーズ(24時間限定)、リール(ショート動画)
- 最大の強み:洗練されたビジュアルによるブランディング
- 雰囲気:おしゃれ、世界観重視
採用活動での活用方法
Instagramは、ビジュアルを通じたブランディングに非常に優れたプラットフォームです。洗練された写真やデザイン性の高いグラフィック、ショート動画(リール)を駆使して、企業の持つ独自の世界観やおしゃれなオフィス環境を魅力的に訴求できます。
効果的なコンテンツ例
- 統一感のあるフィード構成
- 社員インタビュー(フィード投稿+キャプション)
- オフィス環境の魅力的な写真
- 社員のファッションスナップ
- ストーリーズ機能の活用
- リール動画
企業のブランドカラーやトーンを統一し、スクロールしたときの一覧表示で「世界観」を感じさせる
第一線で活躍する社員にフォーカスし、仕事内容、入社理由、やりがいなどを紹介。求職者にとって具体的なロールモデルとなり、入社意欲を高める
デザイン性の高いオフィス、リラックススペース、カフェスペースなど
特にアパレル、デザイン、クリエイティブ系企業で効果的
・説明会のライブ配信
・社員へのQ&Aセッション
・投票機能で双方向コミュニケーション
・日常的な社内の様子をカジュアルに発信
TikTok的なショート動画をInstagramでも展開
【成功事例】
某アパレル企業の事例
Instagramを採用ブランディングの主軸に据えました。企業の世界観を反映した統一感のあるデザインでフィードを構成し、働く社員のファッションスナップや、企画職の社員へのインタビューコンテンツなどを投稿。
商品の魅力だけでなく、「ここで働くこと」の魅力を視覚的に伝えました。ストーリーズでは、オフィスツアーのライブ配信や、採用担当者へのQ&Aを積極的に行い、フォロワーとの双方向のコミュニケーションを重視。
結果、「憧れの会社」としてのイメージが定着し、企業理念に共感した質の高い学生からの応募が増加しました。
Instagram活用のコツ
- ハイライト機能
- インフルエンサーとのコラボ
- UGC(ユーザー生成コンテンツ)
ストーリーズを「採用情報」「社員紹介」「オフィス紹介」などカテゴリ別に保存し、いつでも見られるようにする
社員自身がマイクロインフルエンサーとして活動
内定者や若手社員に投稿してもらう
X(旧Twitter):リアルタイム性と拡散力で認知を拡大

プラットフォームの特徴
- ユーザー層:20代〜40代まで幅広い
- コンテンツ形式:テキスト主体(最大280文字)、画像、動画も可
- 最大の強み:リポスト機能による圧倒的な拡散力
- 雰囲気:リアルタイム性、速報性
採用活動での活用方法
Xの最大の武器は、リアルタイム性と拡散力です。採用イベントの告知やエントリーの締切案内といった即時性が求められる情報の発信に最適です。
リポスト機能によってユーザーからユーザーへと情報が広がりやすく、短期間で多くの人に企業の存在を知らせることが可能です。
効果的なコンテンツ例
- 採用イベントの告知・リマインド
- エントリー締切の案内
- 「中の人」としての親しみやすい投稿
- 候補者からの質問に気軽に返信
- 業界ニュースへの見解
- 社員の日常的なつぶやき
「【明日開催】オンライン説明会を20時から開催します!」
「【あと3日】26卒エントリー締切は○月○日です」
「今日は新入社員の歓迎会でしたみんな緊張してたけど、すぐに打ち解けてました」
リプライやDMで質問に答えることで、心理的距離を縮める
専門性をアピールし、企業の考え方を示す
「ランチは新しくできたカレー屋さんへ。激辛チャレンジしてみた結果…」
X活用のコツ
- カジュアルな口調:固すぎず、親しみやすいトーンで
- 返信の迅速さ:リプライには可能な限り早く反応
- リポストの活用:社員の投稿や関連ニュースを積極的にシェア
- スペース機能:音声でのライブ配信も可能
- 定期的な投稿:1日2〜3回程度が理想
注意点
Xは拡散力が高い反面、炎上リスクも高いプラットフォームです。政治的・宗教的な発言、差別的表現などは厳に慎むべきです。
YouTube:長尺動画で企業の魅力を深く伝える

プラットフォームの特徴
- ユーザー層:全年齢層(特に10代〜30代の利用率が高い)
- コンテンツ形式:長尺動画(数分〜数十分)
- 最大の強み:詳細な情報を深く伝えられる、検索エンジンとしても機能
- 雰囲気:教育的、情報提供型
採用活動での活用方法
YouTubeは、より長い時間の動画コンテンツを通じて、企業の魅力を深く、そして多角的に伝えることができるプラットフォームです。
他のSNSで企業に興味を持った候補者が、さらに詳しい情報を求めて訪れる「受け皿」としての役割を果たします。
効果的なコンテンツ例
- 事業内容を詳しく解説する動画
- 社員の1日密着ドキュメンタリー
- 複数の社員による座談会
- 代表メッセージ
- 仕事のやりがいを深掘り
「当社のビジネスモデルを10分で完全解説」
「営業職の1日に密着!朝から夜まで追跡しました」(10〜15分)
「若手社員3人が本音で語る!この会社のリアル」(20〜30分)
「代表から就活生へ:私たちが目指す未来」(5〜10分)
「入社3年目が語る、この仕事の魅力と大変さ」
YouTube活用のコツ
- サムネイルの工夫:クリックしたくなる魅力的なデザイン
- タイトルにキーワード:「○○業界」「新卒採用」など検索されやすいワードを含める
- 字幕の追加:音声なしでも内容が分かるように
- 再生リストの活用:「社員インタビュー」「会社紹介」などカテゴリ分け
- 他のSNSからの導線:InstagramやXから「詳しくはYouTubeで」と誘導
LINE:クローズドな関係構築と確実な情報到達

プラットフォームの特徴
- ユーザー層:全年齢層(国内普及率90%超)
- コンテンツ形式:チャット形式、プッシュ通知
- 最大の強み:高い到達率、個別対応が可能
- 雰囲気:クローズド、パーソナル
採用活動での活用方法
LINEは国内で最も普及しているコミュニケーションアプリであり、採用活動においては候補者とのクローズドな関係構築に強みを発揮します。
効果的な活用法
- LINE公式アカウントで選考情報の案内
- リマインド送信
- 個別質問への対応
- オープンチャット機能で内定者交流
- 入社までのフォロー
説明会やインターンシップの参加者に登録してもらい、選考ステップごとの情報を配信
「明日14時から面接です。会場は○○ビル3階です」
1対1のトークで、候補者一人ひとりの不安を解消
内定者同士や若手社員との交流の場を設ければ、入社までのエンゲージメントを維持
定期的なメッセージで「忘れられていない」感を演出
LINE活用のコツ
- 友だち追加の促進:説明会でQRコードを提示
- セグメント配信:選考ステージごとに異なるメッセージ
- 返信の迅速さ:チャット感覚で素早く対応
- 絵文字・スタンプの活用:固すぎない雰囲気づくり
【注意点】
LINEは非常にパーソナルなツールであるため、過度な連絡は「プライベートへの侵入」と受け取られる可能性があります。連絡頻度と内容には配慮が必要です。
SNS運用を成功させる3つの運用原則
どのSNSを使うにしても、共通して重要な運用原則があります。
原則1:社員に登場してもらい、リアルな働き方を見せる
Z世代が企業に求めるのは、きれいに装飾された情報ではなく、ありのままの「リアル」な姿です。このニーズに応える最も効果的な方法が、実際に働く社員にコンテンツへ登場してもらうことです。
若手社員が自らの言葉で仕事のやりがいや入社理由を語るインタビューや、チームで和やかにランチをする風景など、社員の素顔が見えるコンテンツは、求職者に強い親近感と信頼感を与えます。視聴者は、社員の姿を通してその企業で働く自分を具体的に想像しやすくなり、入社意欲の向上につながります。
【実践のヒント】
- 若手社員だけでなく、中堅、ベテラン、経営層まで多様な社員を登場させる
- 台本を読ませるのではなく、自分の言葉で語ってもらう
- 失敗談や苦労話も正直に話してもらう
- 社員の趣味や特技なども紹介し、「人間味」を出す
原則2:コメントやDMに積極的に返信して交流を深める
SNSは、企業と個人がフラットな立場でコミュニケーションを取れる貴重な場です。
投稿に寄せられたユーザーからのコメントや質問、DMに対しては、可能な限り迅速かつ丁寧に対応することが重要になります。一つひとつのやり取りを大切にし、人間味のある言葉で返信することで、企業への好感度や信頼感が高まります。
「この会社は自分の声に耳を傾けてくれる」と感じてもらうことが、エンゲージメントの深化につながり、最終的に応募へと結びつくでしょう。
【実践のヒント】
- 返信テンプレートに頼らず、個別の内容に合わせた返信を
- 営業時間外でも可能な範囲で対応
- ネガティブなコメントにも誠実に対応
- 質問には具体的に答える(「詳しくはHPで」だけで終わらせない)
原則3:ターゲットに届くハッシュタグを戦略的に活用
ハッシュタグは、自社の投稿をまだ知らない潜在的な候補者に届けるための強力なツールです。
Z世代は、知りたい情報を検索する際にハッシュタグ(#)を活用する「タグる」という行動を頻繁に行います。
そのため、投稿内容に合わせたハッシュタグを戦略的に選定することが不可欠です。
効果的なハッシュタグの組み合わせ例
- 基本的なハッシュタグ
- 業界・職種に関するハッシュタグ
- 働き方・社風に関するハッシュタグ
- 投稿内容に関するハッシュタグ
#新卒採用#26卒 #27卒 #就活 #就職活動 #採用 #リクルート #会社説明会 #インターンシップ #企業名
#IT業界 #コンサル業界 #メーカー #営業職 #マーケティング職 #エンジニア採用 #デザイナー採用
#オフィス紹介 #社員の1日 #若手が活躍 #福利厚生 #ワークライフバランス #社内イベント #働きがい
#社員インタビュー #座談会 #就活生と繋がりたい #教えて先輩
活用のコツ
- 1投稿あたり3〜10個程度のハッシュタグを組み合わせる
- 人気すぎるハッシュタグ(投稿数が数百万件)は埋もれやすい
- ニッチなハッシュタグも混ぜて、ターゲットを絞る
- 自社オリジナルのハッシュタグも作成(#○○社で働こう など)
採用イベント戦略 – 体験で確信に変える
SNSで興味を持ってもらったら、次は「体験」を通じて確信に変えるフェーズです。ここで重要になるのが採用イベントです。
従来の一方的な会社説明会では、Z世代の心は掴めません。彼らが本当に知りたいことは何でしょうか?ここでは、Z世代が採用イベントで本当に知りたいことを探っていきます。
Z世代が採用イベントで本当に知りたいこと4選

1. 企業カルチャー・社員のリアルな雰囲気
Z世代が企業を選ぶ上で重視するのが、職場のカルチャーや人間関係です。
Webサイト上の情報だけでは掴みきれない、社員同士が普段どのようにコミュニケーションを取っているのか、どのような雰囲気で仕事をしているのかといった「リアルな空気感」を知りたいと考えています。
2. ワークライフバランスの実態
仕事だけでなくプライベートな時間も大切にするZ世代にとって、ワークライフバランスの実現可能性は、企業選びにおける重要な判断基準です。
彼らは、残業時間の実態、有給休暇の取得率、リモートワークやフレックスタイムといった柔軟な働き方に関する制度の有無と、その実際の活用状況について具体的な情報を求めています。
3. 入社後のキャリアパス・成長機会
Z世代は自身の成長意欲が高く、入社後にどのようなスキルを習得し、キャリアを築いていけるのかという点に強い関心を持っています。
具体的な研修制度の内容、メンター制度の有無、そして若手のうちから裁量権のある仕事を任せてもらえる環境かどうかを知りたいと考えています。
4. 企業の社会貢献の具体的取り組み
社会的な課題への関心が高いZ世代は、企業の利益追求だけでなく、その事業が社会にどのような価値を提供しているかを重視します。
特に人気のある企業は、自社のパーパス(存在意義)を明確に示しています。彼らは、SDGsやダイバーシティの推進、環境問題への配慮といった、企業の社会貢献活動について、抽象的な理念ではなく具体的な取り組みを知りたいと考えています。
Z世代の心を掴む!面白い採用イベント企画5選

では、具体的にどのようなイベントが効果的なのでしょうか?
企画1:実際の業務を体験できるワークショップ型イベント
企業の事業内容や具体的な仕事を入社前に体験できるワークショップは、Z世代にとって非常に魅力的なイベントです。
イベントの設計
実際の業務に近い課題に対して、グループで解決策を考える形式にすることで、参加者は働く姿を具体的にイメージできます。
具体例
- IT企業:「新サービスの企画立案ワークショップ」
- 広告代理店:「架空クライアントの広告キャンペーン立案」
- メーカー:「商品開発シミュレーション」
チームに分かれて、実際の顧客課題をもとに新サービスを企画
最後に社員の前でプレゼンテーション
予算、ターゲット、期間などの条件を与え、実践的な企画を作成
市場調査から製品コンセプト、デザインまでの一連の流れを体験
期待される効果
- 仕事の面白さや難しさを肌で感じてもらえる
- 企業理解が深まる
- 参加者のスキルや思考特性を見極める機会にもなる
- 入社後のミスマッチを減らす
企画2:社員と本音でカジュアルに話せる座談会・交流会
Z世代は、企業のリアルな情報を得るために社員との直接的な対話を重視します。
イベントの設計
特に、年齢の近い若手社員や異なる部署で働く社員と本音で話せる機会は、彼らにとって価値が高いものです。
堅苦しい質疑応答ではなく、カフェのようなリラックスした空間で少人数の座談会を実施することで、学生は普段聞きにくい給与や残業の実態、職場の人間関係といった踏み込んだ質問もしやすくなります。
具体的な設計
- 形式:学生3〜5人に対して社員2〜3人の小グループ
- 場所:会議室よりもカフェスペースやラウンジ
- 時間:60〜90分程度
- 服装:カジュアルOK(社員もスーツではなく私服)
- テーマ:自由質問形式、または「キャリア」「ワークライフバランス」などテーマ別
話せる内容の例
- 実際の残業時間と休日出勤の頻度
- 有給休暇の取りやすさ
- 職場の人間関係(上司は怖い?同僚は仲良い?)
- 入社前と入社後のギャップ
- 仕事で一番大変だったこと、嬉しかったこと
- プライベートの時間の使い方
期待される効果
- 企業の多面的な魅力を伝えられる
- 学生の不安を解消できる
- 社員との距離が縮まり、「ここで働きたい」という気持ちが強まる
企画3:内定者や若手社員が企画・運営するイベント
学生と年齢が近く、同じ就職活動を経験した内定者や若手社員が企画・運営するイベントは、Z世代の共感を強く呼び起こします。
なぜ効果的か
学生が本当に知りたいことや、面白いと感じるコンテンツを彼らの目線で盛り込めるため、参加者の満足度が高くなる傾向があります。
具体的なコンテンツ例
- 就活体験談トークセッション
- 若手社員が本音で語る会
- 1日社員体験
- 内定者懇親会
内定者が自身の就職活動の成功談や失敗談を赤裸々に語る
入社1〜3年目の社員が、仕事のやりがいから厳しさまでを率直に話す
若手社員に1日密着し、実際の業務を間近で見る
既に内定を得た学生と、これから選考を受ける学生の交流会
期待される効果
- 採用担当者が主導するイベントとは一味違う、リアルで親近感のある雰囲気
- 学生の心理的な障壁を取り払う
- 志望度の向上
企画4:企業の社会貢献活動を体験できるイベント
企業の社会貢献活動に学生が社員と共に参加する体験型イベントは、企業の理念や社会に対する姿勢を直接的に伝えられるユニークなアプローチです。
具体例
- 環境保全活動:地域の清掃活動や植林ボランティア
- 教育支援:小中学生向けのプログラミング教室の運営サポート
- 地域貢献:地域イベントへの参加、高齢者施設でのボランティア
- 災害支援:被災地でのボランティア活動
期待される効果
- 企業の社会的な存在価値を肌で感じることができる
- 活動中に生まれる社員との自然なコミュニケーションは、通常の座談会では得られない深い相互理解を促す
- 特に、自社の事業と関連性の高い社会貢献活動であれば、より一層企業のパーパス(存在意義)を力強く伝えられる
企画5:インタラクティブ動画を活用したオンライン説明会
コロナ禍以降、オンライン説明会が定着しましたが、一方的な配信では学生の集中力が続きません。
視聴者が選択肢をクリックすることで、動画の内容が分岐する「インタラクティブ動画」を活用することで、学生が主体的に情報を選択できる体験を提供できます。
具体例
- 冒頭で「営業職について知りたい」「エンジニア職について知りたい」などの選択肢を提示
- 選択に応じて、該当する社員インタビュー動画に分岐
- 途中で「もっと詳しく知りたい」をクリックすると、補足情報が表示される
成功事例
ある企業では、説明会をインタラクティブ動画化したことで、内定承諾者数が6倍に増加した事例があります。
学生が自分の興味に応じて情報を選択できるため、満足度が高く、最後まで視聴する率も向上しました。
期待される効果
- オンラインでも参加意欲を維持
- 学生一人ひとりに最適化された情報提供
- 「面白い」「新しい」という印象を与え、企業のイメージアップ
イベント成功のための3つのポイント

どんなに面白い企画でも、運営方法を間違えると逆効果です。
ポイント1:双方向コミュニケーションを重視する
Z世代が求めているのは、ネットでは得られないリアルな情報や、社員との双方向のコミュニケーションです。
NG: 一方的な説明で終わる
OK: 学生が主体的に参加できるワークショップ、自由に質問できる座談会
イベントを企画する際は、学生が主体的に参加できるワークショップの時間を設けたり、自由に質問できる座談会を中心にプログラムを構成したりするなど、参加型のコンテンツを設計することが重要です。
ポイント2:質問しやすいカジュアルな雰囲気をつくる
採用担当者や役職者が壇上から話し、学生はただ静聴するだけといった堅苦しい雰囲気のイベントでは、Z世代は本音で質問することができません。
他の参加者の視線を気にしてしまい、初歩的な質問や少し踏み込んだ疑問を口にすることを躊躇する傾向があります。
雰囲気づくりの工夫
- 服装を自由にする(社員もカジュアルな服装で)
- 役職名ではなく「さん」付けで呼び合うルールにする
- 少人数のグループに分ける
- カフェスペースやリラックスできる場所で開催
- 「どんな質問でもOK!」と明言する
学生がリラックスし、どんなことでも気軽に質問できるような心理的安全性を確保することが求められます。
ポイント3:参加メリットを明確に提示する
タイムパフォーマンスを重視するZ世代は、イベントに参加することで何を得られるのかを事前に具体的に知りたいと考えています。
明確なメリットの提示例
- このイベントに参加すれば、Webサイトには載っていない○○が分かる
- 現場の若手社員にキャリアの相談ができる
- 実際の業務を体験できる
- 参加者には選考で有利になる特典あり
イベントを告知する段階で、得られる情報や体験、対象となる学生像などを具体的に示すことで、参加後のミスマッチを防ぎ、学生の参加意欲を効果的に高めることができます。
漠然としたイベント案内では、多忙な彼らの心には響きません。
言葉で共感を生む採用メッセージ戦略

SNSやイベントで接点を持っても、そこで発信する「メッセージ」が響かなければ意味がありません。
Z世代に響くメッセージの4大要素
効果的な採用メッセージにはいくつか共通する要素があります。
要素1:透明性 – 正直であることが信頼を生む
若い世代は企業から提供される情報の透明性を重視しており、そのため実際の社員の声や業務内容について具体的かつ正直な情報提供を心掛ける必要があります。
このような情報開示によって求職者は企業への信頼感を得ることができ、自分自身との相性について考える材料となります。
実践方法
- 社内トレーニングやキャリアパスについて詳細なデータを明示
- 社員インタビュー動画で具体的な体験談を語ってもらう
- 良い面だけでなく、課題や改善中の点も正直に伝える
- 数字で示せるものは数字で(残業時間、有給取得率、離職率など)
NG例とOK例
NG:「当社はワークライフバランスを重視しています」
OK:「平均残業時間は月15時間、有給取得率は85%です。毎週水曜日はノー残業デーを実施しています」
要素2:ストーリーテリング – 物語で感情を動かす
ただ単に求人内容を羅列するだけでなく、会社の歴史や理念などを物語として伝えることで求職者との感情的なつながりが生まれます。
効果的なストーリーの要素
- 会社の創業ストーリー:なぜこの事業を始めたのか
- 製品・サービスの誕生秘話:どんな課題を解決したかったのか
- 社員の成長ストーリー:入社時の不安から現在の活躍まで
- 失敗から学んだ教訓:困難をどう乗り越えたか
- 社会への貢献:自社の仕事がどう社会に役立っているか
このような感情的訴求によって求職者は自社への興味・関心が高まり、自分自身もそのストーリーの一部になりたいと考えるようになります。
また、このストーリーには具体的な成果やチャレンジも含めることでリアルさと共感度が高まります。
要素3:ビジュアルコンテンツ – 視覚で印象づける
特にSNSでは画像や動画による情報発信が主流となっており、この形式によってメッセージ内容が視覚的にも印象付けられます。
効果的なビジュアルコンテンツ
- 社内イベントや社員インタビュー動画
- オフィスの雰囲気が伝わる写真
- インフォグラフィックス(数字やデータを視覚化)
- グラフィックデザインで統一感のある投稿
- Before→After形式(入社前後の成長など)
たとえば社内イベントや社員インタビュー動画などを通じて実際に働く人々を見ることで、自分自身と同じ志向性を持つ仲間たちとの出会いまで想像できるようになります。
このような視覚的要素は特にZ世代とのコミュニケーションでは欠かすことのできないポイントです。
要素4:エンゲージメント促進 – 一方通行で終わらせない
求職者との双方向コミュニケーションやフィードバック機能などを取り入れることで、一方通行ではない関係構築が可能になります。
実践方法
- SNS上で質問募集を行う
- 寄せられた質問に丁寧に回答する動画を作成
- インタラクティブなコンテンツ(クイズ形式、投票機能)
- コメント欄での活発なやり取り
- UGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用
このような取り組みは相手への敬意とも受け取られ、自社への好感度向上にも寄与します。
まとめ

ここまで、SNS採用戦略、採用イベント戦略、採用メッセージ戦略の3つの柱について、具体的な手法と事例を交えて解説してきました。
【SNS戦略】
TikTok:エンターテインメント性で仕事の楽しさを伝える
Instagram:ビジュアルで世界観を構築
X:リアルタイム性と拡散力で認知拡大
YouTube:長尺動画で深い理解を促進
LINE:クローズドな関係構築
【イベント戦略】
業務体験ワークショップ
社員との本音座談会
内定者・若手社員主導のイベント
社会貢献活動体験
インタラクティブ動画活用
【メッセージ戦略】
透明性:正直な情報開示
ストーリーテリング:物語で感情を動かす
ビジュアルコンテンツ:視覚で印象づける
エンゲージメント促進:双方向のコミュニケーション
今日からできる5つのアクション
理論を学んだら、次は行動です。以下は、明日からでも始められる具体的なアクションです。
- 自社のSNSアカウントを開設する
- 社員にカジュアルな投稿を依頼する
- 採用サイトに社員インタビュー動画を追加する
- 次回の説明会を対話型に変更する
- 内定者に個別面談を提案する
まだアカウントがないなら、まずはInstagramかXから始めましょう。
「今日のランチ」「オフィスの一角」など、気軽な内容で構いません。
スマホで撮影した簡単なものでOK。3分程度の短い動画から始めましょう。
一方的なプレゼンテーションの時間を減らし、座談会の時間を増やします。
不安や疑問を聞き出し、一人ひとりに合わせたフォローを開始しましょう。
この記事では、Z世代を「惹きつける」ための戦略を解説しました。しかし、採用活動のゴールは「内定」ではありません。内定を出してから入社するまでの期間、そして入社後の定着までが本当の採用成功です。
次回、第3部「Z世代の内定辞退を防ぐ!採用成功を確実にする内定者フォローと実践チェックリスト」をお届けします。
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